高校の体育祭の伝統

ウチの高校では、1年生男子が組立体操をするのだが、当然、痛いわ重いわで非常につらいわけである。
練習の時はアタリマエのごとく罵声もあびせかけられるし、デブだからという理由で筋肉がなくても土台にもさせられる。
そんなこんなで、憂鬱な気分のまま本番を迎えた1年生に、実はすばらしい伝統が待ちかまえている。
それぞれの型を決めるたびに、2年生と3年生が一斉に「おお〜〜」と歓声を上げ、大きく拍手をするのだ。
なにせ、運動で褒められるという経験が宇宙空間から1マイクロ立方メートルの砂金を探してくるほどに乏しいワテは、非常にとまどった。すると、兄弟が同じ学校に居る奴が「伝統や」と言った。
つらい練習を通り抜けて来たことに対して、きちんと型を決めたことに対して、賞賛を送るということが伝統によって守られているのである。
これがなければ、高校の組立体操は中学のそれと同等に「単にイヤだったこと」の一つにしかならなかっただろう。
ちなみに、ワテが2年生になったときにも、3年生の時にも、その伝統が守られたのは言うまでもない。
今も守られていればいいのだが。