「腹を割って話す」の思い出

「じゃあ、あのね……ぼうせんぶって、なに?」

この子は、中学3年になるまで、ずっとこの疑問を口にすることができなかったのだ。学校の定期試験で10点前後の成績なのも当然だった。しかしその子が、10年近い学業成績の低空飛行の中でなおも希望を失わず、塾にきちんと通ってくる。ちょっとうまくいかないだけで自分には向いていないと思って放り出す俺は何なんだ、と思った。この子は学問の神様だ、軽々に扱っては不敬になると感じた。

「腹を割って話す」の思い出

会社で読んだので押さえ込んだが、家で読んでいたら声を上げて泣いていただろう。
というか、今決壊寸前w
学習指導要領に従った指導すらせずに、怠慢の極みとも言える授業を繰り広げ、できない生徒に対して罵声を浴びせかけ続けてきた体育教師たちに、ほんのちょっとの発想の転換とそれを伝える言葉なりメソッドがあればと思うのだが、今、三十路になってそういう人に出会えたからよかったのかなと思う。
今となっては、そんなことを口にする体育教師はいないだろうけれど、「なんでできねーんだよ!」と叫びそうになったら、このハナシを思い出していただければ、私のような抑圧型の運動音痴の再生産が防止できるのではないかと思う次第である。